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【ホラーテラー】北◯街の地下街

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昨年夏、バイトの帰り道に起きた話です。
血まみれで髪の長い女……とかは残念ながら出てきませんが、私にとってはかなり怖い体験だったので投稿しました。

その時はまだ車の免許を持っておらず、自転車でせっせとバイト先まで通っていた。
まだ若いとはいえ、授業の後に夜中までのバイトはなかなかキツイものがある。
繁盛している飲食店で忙しく、動きっぱなしだったからなおさらのこと。
仕事後はさっさと家路に就いていた。

店を出て数分の所に、地元でちょっとした噂になっている地下道があるのだが、
自宅までの最短ルートは、その地下道を通らなければならなかった。
特に霊感があるわけでもないし、万が一『何か』を見たとしても、
こんなクッタクタなのにわざわざ遠回りして帰るよりは全然マシだわ!!…と思って大して気にもせず、
毎日その道から帰っていた。
その地下道は結構な長さがあり、少し湾曲しているため、端と端の出入口が見えない。
年数も経っていそうだし、視界の悪さから起こる交通事故も時々あった。
そんなだから余計に怖い噂がたっていたのだと思う。

ある日、いつもの終了時間よりだいぶ遅くなった時のこと。
自転車に乗ろうとまたがると、前後のタイヤがパンクさせられていたことに気付いた。
面倒臭かったけれど自転車を引いて帰ることにした。高い自転車だったし、更にイタズラされるのが心配だったからだ。
あまりの腹立だしさに、今からあの長い地下道を通らなきゃいけないことなんて全く頭になかった。

ただでさえ疲れてるのに、こんな目に遭うなんて……などとボヤいているうちに、
いつの間にか周りの空気がじんわりと冷たくなっているのを感じた。
夏の真っ盛り、夜中でも蒸し暑いはずが、珍しいな…と思っていると、どうやら地下道の入口まで来ていたようだ。
いつもは自転車でシャーッと突っ切るし、帰ってお風呂入りたい一心なので、
いちいち空気の違いなんて気に留めていなかったけど…確かにココはひんやりしている。
まぁ、一応(浅いけど)地下だもんね…と、とことん鈍い私は中に入っていった。

毎日通ってるけど、歩いてみるとまた印象違うなぁ~。
長い通路(歩くと自転車より異様に長く感じる。当たり前ですね…)を真ん中辺りまで来た時、
対向側から自転車に乗った女の人が見えてきた。
自分以外にもこんな深夜に、この地下道を普通に使う人がいることに妙に安心。
な~んだ。アソコ怖いよ…とか言って、みんな使ってるんじゃない。
自転車の女性は通り過ぎる際、自転車を引きずる私を見て若干怪訝そうな顔をしたように思う。
そりゃ、真夜中にこんな地下道で、ズルズルと自転車押してる人見たらねぇ…。

私はちょっとだけ気分を害したけれど、またゆっくりと歩きだした。
それにしてもこの地下道、出口までこんな長かったかな…??と思った矢先、
キーーーッ!!
ガッシャーーーンッッ!!!
何かがぶつかる音が地下道いっぱいに響いた。
私が歩いてきた方向からのようだった。
もしかして、今さっきすれ違った女の人、ひかれたのかも…!?
一瞬にして冷や汗がダーッと湧いてくる。私は自転車をその場に倒し、慌てて来た道を戻った。
火事場の馬鹿力…じゃないけれど、相当速く走ったと思う。何かあったのなら助けなきゃ!!と。

カーブしている道を戻り、私の目に入ってきたのは空っぽの通路だった。
……何もない………。
そこには自動車も自転車も、私とすれ違ったあの女の人も、とにかく何も、誰もいなかった。
にわかには状況がつかめず、がらんどうの地下道の中でただただ茫然。
怖いというより、不思議でたまらなかった。
自分が疲れ過ぎていた結果の幻聴だったのかな…と思い直そうとしたけど、
そう言い切るには生々し過ぎる程の衝突音だった。
もちろん、事故も何も無くて良かったのだけど…なんだかキツネにつままれたような変な感じ。
それにしたって、あの女性はどんだけ速いスピードで地下道を駆け抜けていったのだろう…。
私とすれ違ったばっかりなのに。
デカイ音も自転車の女性の事もいまいち腑に落ちなかった私。
歩きながら段々怖くなってきた。

自分の自転車を起こすと、今までより早足で出口に向かって歩きだし、
やっと地下道の終わりから広い道路に出ようとした瞬間、髪の毛をグンッと引っ張られた気がした。
お団子ヘアをしていたのだが、その毛束ごと持っていかれるような強い力。うなじの辺りに気味の悪い湿り気を感じた。
私は後ろを一切振り向かず、とにかく早足で黙々と歩き続けた。
このド鈍い私が、怖くて怖くてたまらなかったから……。

…家には無事たどり着いたが、今起きたことを冷静に考えてみても、やっぱり気のせいだとは思えなかった。
その日の体験から、私は地下道を避け、遠回りでも別の道を使うようになった。

~バイトを辞めた今、あの地下道に近付くことはありませんが、
歩きじゃなく、例え車に乗っていたとしても、二度とあそこは通りたくありません…。

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