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【洒落怖】祖父ちゃんが太平洋戦争で南方に行って、2,3年した、終戦が近い頃にな ると、それまでとは違った、若い兵隊が南方に来るようになったって。 その中に、ミズカミっていう兵隊がいた。

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458: 188 2007/01/09(火) 20:58:40 ID:Fbx1TomL0
うちの祖父ちゃんは、もう亡くなったけど、医者で
太平洋戦争の時は、若かったから(24歳くらい?)「軍医」という
わけではなかったけど、従軍して東南アジア(のほう)に行ったらしい。
もちろん、おもな仕事は兵隊の健康管理や、負傷兵の治療で、「少ない
医者だったから、みんな大切にしてくれたよ(本人談)」

俺はじいちゃんに可愛がられてたから、戦争の話とか、戦争に行く前の
田舎での話とか、いろんな話をしてくれた。
ほとんどは、ローティーンを楽しませるような、冒険話とか、
東南アジアでの土産話みたいな話だったけど、、その中には、
あんまり笑えないような、怖い話もあった。

俺は中学生の時、剣道部に所属していた。
その剣道部の顧問が、けっこう強烈な人で、部員には「真剣で相手斬り殺す
つもりでいけ」って口癖みたいに言ってた。
だから、当時の俺もけっこう影響受けて「試合で相手を斬り殺す」みたいな
こと言ってた時期があった。
そんな話を祖父ちゃんにしたとき、祖父ちゃんが俺に話してくれたこと。

459: 188 2007/01/09(火) 21:00:27 ID:Fbx1TomL0
祖父ちゃんが太平洋戦争で南方に行って、2,3年した、終戦が近い頃にな
ると、それまでとは違った、若い兵隊が南方に来るようになったって。
その中に、ミズカミっていう兵隊がいた。
ミズカミさんは、祖父ちゃん達がいた陣地の、守備にあたる部隊にに配置さ
れて、陣地の近くにいる時間が長かったぶん、祖父ちゃんと親しくなった。
もっとも、祖父ちゃん曰く「祖父ちゃんが南にいってしばらくした頃には、
連合軍の反撃で、どんどん撤退してたんだ。 だから、部隊の全部が守備隊
みたいなもんで、出撃とかはほとんどなかったな」らしいので、ミズカミさ
んと祖父ちゃんが仲良くなったのは、他に理由があったのかもしれない。

ミズカミさんは、実家から持ってきた本物の日本刀を持ってた。
将校や指揮官が飾りで軍刀を持ってたりするのとは違って、ミズカミさんは、
「人を斬る」つもりで、その日本刀を持ってたって。 刀も太刀じゃなく、
小太刀ほどでないにしても、少し小振りな刀で、片手でも十分に振るえるも
のだったって。
ミズカミさんは、兵学校での剣術の成績が抜群によくて、特別に持つことを
許されてたらしい。

でも、白兵戦なんて、めったに無く、銃剣でさえ着装しないのに、日本刀
を使う機会なんて、まず考えられなかったって。
祖父ちゃんが、そのことを仲良くなったミズカミさんに聞くと、ミズカミさん
は、自分の剣術が父親から教えられたものだと言った。
それも、精神鍛錬や身体訓練が前提ではない、戦場で相手を殺傷するための
技術として、ミズカミさんはそれを習ったという。

460: 188 2007/01/09(火) 21:01:20 ID:Fbx1TomL0
「ミズカミの家は、大名のとこで剣術を教える家系で、徳川さんが終わって、
天皇陛下の時代になった途端、失業したんだな。
もう、あの頃は、明治維新や西郷さんの西南戦争から50年以上たってて、
『刀』で戦争をするなんて昔話さ。 だけど、ミズカミの周りはそうじゃ
なかったんだな」って祖父ちゃんは言ってた。

ミズカミさんは、自分が父親から習ったゴシキナイ(ミズカミさんは、自分の
剣術を「ゴシキナイ」って呼んでたらしい)を実際に使って、敵兵を
斬ることを心底望んでいるようだった。
でも、その機会はなかなか来なかった。基本的に撤退が中心の作戦だし、敵の
飛行機から機銃掃射されてたんじゃ、刀で戦う機会なんてあるわけなかった。

461: 188 2007/01/09(火) 21:04:39 ID:Fbx1TomL0
そんな中、陣地からそう離れていない場所に米軍の飛行機が落ちた。
祖父ちゃん達のいる陣地に散々機銃掃射をした帰りの墜落だった。
陣地では死人や重傷者が何人も出て、祖父ちゃんは手当で忙しくて、それどこ
ろじゃなかったみたいだけど、陣地から何人かが墜落場所の確認に行った。
飛行機は運良く森の中の池に墜落していて、米兵が一人失神した状態で見つかった。

陣地に連れてこられた米兵は、三十歳くらいの大柄な男だった。
自分の置かれた状況がすぐにわかったらしく、顔は青ざめたままだった。
「その時初めて白人を間近でみたけどな、肌が白くても、やっぱり青ざめるって
いうのはあるんだな。 飛行機に乗って、顔もわからない人間を撃ち殺している
うちは何とも思わなくても、自分がその死体の前に立てば、どれだけ酷いことを
したのか、わかるもんだ」って祖父ちゃんは言った。

米兵は捕虜になることはなく、陣地で処刑されることになった。
その時、声をあげたのがミズカミさんだった。
「こいつは、仲間を撃ち殺した罪人だ。銃殺ではなく、斬首にすべきだ」って。
仲間がたくさん殺され、殺した相手が自分たちの目の前にいる状況では、反対
する者はいなかった。むしろ、それが当然なんだっていう雰囲気だったって。
今まで、何度も陣地に機銃掃射を浴びせた沢山の敵軍機に対する怒りが、その米兵
一人にそそがれてるようなかたちになったって。
指揮官の命令で、陣地の中心に祖父ちゃんを含めた全員が集まり、その中で
米兵の処刑が行われることになった。 

462: 188 2007/01/09(火) 21:06:56 ID:Fbx1TomL0
5人で暴れる米兵を押さえつけ、ミズカミさんがあの刀を使って、斬首する
ことになった。 ミズカミさんは冷静だった。 興奮するでもなく、刀を振るって
練習するでもなく、鞘におさめた刀を持って、米兵の前に立った。
祖父ちゃんは「首が斬られるとこなんて見たくなかったよ。 でもミズカミのな、
その姿を見たら、何でだろうな…、目が離せなくなったよ」って。

指揮官が合図を出すと、ミズカミさんが刀を抜き、米兵の首に振り下ろした。

米兵のもの凄い叫び声が上がった。首は落ちなかった。
「暴れたから、首じゃなくて、頭に刃が当たって、頭の肉がそげ落ちるように
なった」 ミズカミさんがもう一度刀を振り下ろすと、今度は刃先が頭蓋骨に
潜り込んで、米兵がもっと凄い叫び声を上げた。

ミズカミさんは、頭蓋骨にひっかかった刃先をこじるようにして外すと、もう
一度刀を振りかぶった。
その時、米兵が押さえつけていた5人をはねのけて、両手を縛られた状態で
よたよたと走り出した。 英語で何か言ってるみたいだけど、それが言葉なのか
もわからないような、ろれつがまわらない状態で、叫びながら走った。

463: 188 2007/01/09(火) 21:08:51 ID:Fbx1TomL0
ミズカミさんはそれを追いかけてゆき、米兵の正面に回り込んで立つと
「刀を脇にためて、一気に突き出して、米兵の胸に突き立てた」
米兵は、血を吐き出し、痙攣しながらあおむけに倒れた。
ミズカミさんは、胸から刀を抜くと、米兵の頭を踏みながら、刀を横に
はらってノドを斬った。

誰も声をあげられなかった。
ミズカミさんだけが、何もなかったように、動かなくなった米兵から離れると
指揮官に一礼し、その場を離れた。
祖父ちゃんは、怪我人の手当が一段落してから、ミズカミさんと話をした。

ミズカミさんは、
「自分が今まで積み重ねてきたことが、やっと現実につながりました。
一度で首を切り落とせなかったことは、父が自分に話したとおりです。
人間を斬り殺すことは、簡単ではありませんが、積み重ねた鍛錬がそれを
可能にするのです。
鍛錬した技の中から、ギリギリであの技を絞り出し、自分は成し遂げたんです」
と話をした。

464: 188 2007/01/09(火) 21:11:01 ID:Fbx1TomL0
祖父ちゃんは「ミズカミは『すごいことをした』って満足そうに話をするんだ。
だけど、やったことは、怯えた人間を、斬り殺しただけなんだよ。
ミズカミが、それまで祖父ちゃんに話していたのは、人と斬り合ったり、
戦う相手を斬り倒す剣術だったのにな…。
ミズカミが何を『成し遂げた』のかは、聞けなかったな」

祖父ちゃんは、ここまで俺に話してから「昔の話だけど、人をな、『斬り殺す』
ってことはな、ここまでのことなんだ」って言った。
祖父ちゃんは、多分、俺が「相手を斬り殺す」みたいなことを言ってるのを
たしなめたかったんだろうし、止めさせたかったんだと思うけど、そういうこ
とは言わなかった。
ミズカミさんが、それからどうなったのか、聞いてみたい気もしたけど、なんか
聞かないほうがいい気がして、その時は、聞かなかったよ。

469: 本当にあった怖い名無し 2007/01/09(火) 23:09:20 ID:XV7Z68DK0
>>464
今回も乙です。
色々考えされられた。さっきVTRを整理処分していたらプライベートライアンが出てきたので
思わず最後まで見てしまった直後だから特に考えさせられたよ・・・

俺の祖父も戦争に行ってるんだ。
もうずいぶん前に他界してるけど、生前ごく稀に戦地での話をしてくれた。
まだ子供の頃の俺にだったけど。

俺は成人してからも祖父と一緒に暮らしていたのに学ばなかった。
もっとじいさんから色々と学んでおけば良かったと今は思うよ。
お前さんは祖父から多くのことを学んだのだな。羨ましいよ。

465: 188 2007/01/09(火) 21:11:42 ID:Fbx1TomL0
以上です。

466: 本当にあった怖い名無し 2007/01/09(火) 21:14:10 ID:KQEvQimX0

いろいろと考えさせられる話だ

467: 本当にあった怖い名無し 2007/01/09(火) 22:38:02 ID:Ia3eeCwe0
188さんはおじい様から、いろんな貴重な話しを聞けて
幸せね。そういうのも立派な財産だわ。
怖くはないけど、胸にじんわり刺さる話しだよ。

471: 本当にあった怖い名無し 2007/01/09(火) 23:23:17 ID:lTj+a1NT0
188さん。今回も貴重なお話有難うございます。

戦場という極限状態が生み出す、「怖い話」ですね。

20年近く前、パック旅行で行った海外旅行先の元国家元首が
暮れに絞首刑になりましたが、
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