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【洒落怖】「川が呼ぶ日がある。山の呼ぶ日もある。どちらも怖いよ。そういう日は 深く入らねえほうがええ。」

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237: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 03/02/21 18:57
2年前の話

俺は渓流釣りが趣味で、ウチの近くの川の源流部へよく釣りに行っていた。
車で30分程度の距離、適度な水量、あまり険しくない流れなど
1人で行ってもさほど危険を感じないような場所である。

3月には珍しいくらいの大雨が降った翌々日、俺はその渓流へ入った。
車を降りてから最初のポイントまで行く間に、砂防ダムを一つ越える必要がある。
歩きながらふと砂防ダムの上を見ると、大きな鹿がいた。
いつもなら人影を見ると逃げるのだが、この日は全く動こうとしなかった。
砂防ダムの下まで来ると、そこには足でも滑らせたのだろうか、すでに
冷たくなっている子鹿の姿があった。
すると、砂防ダムの上の鹿はこの子の親か。親鹿は悲しげな表情をしたまま
森の中へ消えていった。
俺は子鹿のために小さく合掌をしてからその場を後にした。

いきなり自然の現実を目の当たりにしたためか、それとも曇天のせいか
この日は足取りが妙に重かった気がする。

238: 237 03/02/21 18:57
さて、竿を出して釣行を開始する。大雨の後に釣り人が入った形跡は全くない。
この川では珍しいライズ(魚の飛びはね)も確認できる。いつもなら小躍りするような
好条件なのだが、この日はどうもおかしかった。
何でもないような所で根掛かりをしたり、木の枝に引っ掛けたり、
木の根に躓いたり、石の上で滑ったり・・・その時は大雨の影響だろうと
考えていたのだが、今考えるとまるで「奥へ進むな」と言う警告だったような気がする。
右膝と臀部に打撲を負った。しかし、魚だけは良く釣れていた。
こうなると釣り人の性か、前へ進まずにはいられない。
「もう少し、もう少しだけ・・・二段淵まで行こう・・・」

「二段淵」とは巨大な岩盤に囲まれた絶好のポイントである。
ここに着くまでに右肘と右手の甲に擦り傷が増えていたが
なんとか「二段淵」に到着し、ほっと一息ついた。

水量が少し多い他はいつもと変わらない景色・・・のはずが・・・
「何かおかしい・・・」
淵全体の雰囲気がいつもと違った。
いつもなら下流に向かって気持ちよく風が吹いているのだが、この日は無風。
ライズも影を潜め、川から生命感が無くなっていた。
さらに、不気味なほどの静寂・・・そう、鳥の鳴き声一つ聞こえないのだ。

239: 237 03/02/21 18:57
奇妙に想いながらも「ここまで来たからには」と竿を出した。
案の定、当たりは全くない。
「もう終おうか・・・」と思った矢先、二段淵の上の淵で魚が跳ねるのが見えた。
上の淵へは、川の上流に向かって左側の大きな岩をぐるっと回り込んで
行かなければならない。しかしさほど危険ではないので、最後に上の淵を
攻めてから終わることにした。

上の淵に竿を出すと、一発で掛かった。大きい!慎重に取り込む。
上がった魚は50cmを越えるイワナだった。しかし・・・
確かにイワナなのだが、ガリガリに痩せている。
産卵後のイワナを見たことがあるが、それよりも遙かに痩せ衰えている。
餌が豊富なこの渓流で、今までこんな痩せた気味が悪い魚は見たことがない。
「もう帰ろう」 釣った魚を逃がして竿をたたんだ。

240: 237 03/02/21 18:58

帰り支度を整えて振り向くと、道が・・・ない!
先ほど登ってきた道・・・そこには苔むした岩と老木が、まるで
何十年もそこにあるように道を塞いでいた。
半ばパニックになりながら別の道を探した。
下流を向いて左側の岩伝いに、何とか下の淵へ行けそうである。
躊躇なく岩に飛びつき、足場を確認しながら下流へ向かうことにした。

少し進むと、「お ~ い」と頭の上の方から声が聞こえた。
歩を止めて上を見るが、崖の上に人の姿はないようだ。
もっとよく見ようと少し戻り、頭上に張り出した木の根を掴んだ。

その瞬間!!

「おいっ!!」
背後からの大きな声が・・・
そして自分が掴まっていた岩が足場ごと岩盤から剥がれた。
「ドガガアアァァン・・・」
岩は大きな音を立てながら淵の中に落下していった。

241: 237 03/02/21 18:58
オレは木の根を掴んだ状態で宙づりになっていた。
もし手を離していたら、今頃は淵の底で岩に押しつぶされていただろう。
まさに紙一重だった。
上の淵の砂地の所へ戻ると、両足がガクガク震えている。
全身に鳥肌が立ち、気持ち悪い汗が止まらなかった。
「さっきの声は・・・?」 辺りを見回したが、声の主らしき人は何処にも居ない。
ふと気付くと、さっきは岩と老木があった場所に「登ってきた道」が見える。
オレは少しでも早くこの場を離れたくて、無我夢中で川を下った。

翌日、近所の爺さん(釣りの師匠)にこの話をした。すると、
爺さん「川が呼んどったんじゃろうなあ。けど、無事だったのは
山がお前を助けてくれたんじゃな。」
「川が呼ぶ日がある。山の呼ぶ日もある。どちらも怖いよ。そういう日は
深く入らねえほうがええ。」
・・・もっと早く教えてくれよ師匠・・・
                               

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