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【洒落怖】優しそうな女の人が微笑んでいて、こう話し掛けてきた。 「傘がないの? 家まで送ってあげようか」

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878: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 2009/11/26(木) 20:36:46 ID:bKBBhcxS0
同級生の話。

彼がまだ小学生だった頃、帰り道で俄雨に祟られた。
傘を持っていなかったので、途中にあったバス停の屋根の下へ逃げ込んだ。
濡れた身体を払いながら困った顔をしていると、スッと何かが後ろから頭の上に
差し出される。
見上げると赤い傘があった。

驚いて振り向くと、優しそうな女の人が微笑んでいて、こう話し掛けてきた。
「傘がないの? 家まで送ってあげようか」
あぁ助かったと思い、有り難く申し出を受けることにする。

女の人の傘に入れて貰いながら、道々色んなことを話した。
特に女性は彼のことを聞きたがったので、身の回りであったことや家族のことを
思い付くままに喋ったのだという。

どれくらい歩いただろうか、いつの間にか雨が小降りになっていた。
それに気が付いた女性はハッとした様子で、申し訳なさそうに謝ってきた。

「御免なさい、もう戻らないと・・・。
 雨が止んだら出ていられないから」

その後がはっきりしないのだという。
気が付くと横に並んでいた女性は、幻のように消え失せていた。
慌てて辺りを見回すと、そこはまるで見覚えのない山の中だった。
雨は止んでいたが、日が落ちかけていて、夜がそこまで迫ってきている。

879: 雷鳥一号 ◆zE.wmw4nYQ 2009/11/26(木) 20:37:40 ID:bKBBhcxS0

半べそをかきながら歩き出したが、道らしい道もない森の中だ。
すぐに歩けなくなってしまう。
結局、その日の夜遅く、探しに来てくれた消防団の人に助けて貰うことになった。
無事に帰ってからひどく怒られたが、彼が女性の話をすると皆が怖い顔になった。

それからしばらく後「不審者に注意!」という看板が通学路に立てられた。
また、親たちが交代で巡回するようにもなったそうだ。

「でもね、あの人は俺を何処かへ連れて行こうとか、そんなこと考えてなかった
 んじゃないかと思うんだ」

「あの夜、俺が見つかったのは、俺の家に面した裏山の、一寸入った奥だった。
 考えてみるとその場所って、丁度傘に入れて貰ったバス停から俺の家まで、
 真っ直ぐに引いた直線の上にあるんだ。
 いや道も何もない森ん中だから、普通は人なんてとても歩かないけどな」

「だから、あそこで雨が上がらなかったら、ちゃんと家まで送ってくれてたんじゃ
 ないかって思うんだよ。
 だって俺の話を聞いてくれていたあの人の顔、凄く楽しそうだったんだもの。
 ついうっかり、ペース配分を間違えちゃったんだろうなぁ」

何となくしみじみとした調子で、彼はこの話をしてくれた。

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