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笑鬼

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660 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU:2010/03/08(月) 22:00:55 ID:iBzBsDiAO
二つ目は、師匠の地元のお話。
前書いた、
媚人、死人、死国について。



今は昔、香川の讃岐の山奥に、村があった。
その村は、老人ばかり住み、若者と言えば急米という若者位しかいなかった。
その若者は祖母と住んでおり、また、その若者は左手が無いものの、右手だけでたくましく仕事をこなし、老いた村人からは頼られる存在だった。
そんなある日、町からお侍が訪ねてきて、我が城で侍にならないかと持ち掛けてきた。
急米は悩んだ。何故なら町に行けば、老いた村人の世話をする人がいなくなる。老いた村人は苦労するのは目に見えていた。
だが祖母が一言、都に行き、華やかな暮らしを見てみたいとせがんで来たため、急米は渋々その町の城、香川城に行き、侍になることとなった。
急米は左手は無いものの、持ち前の勤勉さ、努力で剣の達人となり、殿様の右腕にまで上り詰めた。
だが、急米の居ぬ間にある悲劇が村を襲った。
城の者達により、急米と祖母が住んでいた村は焼き払われ、一人残らず殺されたのだ。あるものを除いて。
それは急米が村で飼っていた犬。
ある日、急米の元にその犬が訪ねてきた。そしてなんと喋ったのだ。
その急米の犬には殺された村人の怨念、魂が移っていたのだ。
そしてその犬は急米を廃村と化した村へと導き、急米に死んだ村人達と引き合わせ、事の経緯を伝えた。
急米は村人達の死に顔をみて、泣き崩れたという。
そして急米は城へと戻り、なぜそのような事をしたのかと詰問した。
殿様の答えは理不尽極まりない物だった。
661 :師匠と八番目の弟子 ◆JuhF/R5.eU:2010/03/08(月) 22:14:54 ID:iBzBsDiAO

その村は松茸がとれやすく、また、村ごと焼き払う事で、村人や村を灰にし、松茸をとりやすい環境にしたのだ。
だが、村人の怨念か、松茸は一本しか採れなかった。
そして、それを手ぐすねしたのは、他ならぬ急米の祖母だったのだ。
つまり、祖母は金に眩み、村を売り、たかが一本の松茸の為だけに村人達は殺されてしまったのだ。
その話を聞いた急米は怒り狂い、殿様を刀で切り殺した。
そして、金の亡者と化した祖母や、村人達を殺した、城にいた者を一人残らず殺した。まるで何かに取り憑かれた如く。
その時、急米を見た人はこう言ったと言う。
その時の急米は笑いながら人を殺したと。まるで鬼の如し…笑鬼だと…
そして香川城はお家断絶、崩壊した。
たった一つの松茸の為に。
そして急米の子孫はいま、香川市のどこかでうどん屋をしている。今はもう名前を変えたが、名を変える前の名は…笑鬼。
今日はこの位にしましょう


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