シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

【後味の悪い話】失明した青年

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 0

後味の悪い話 その106

633 :本当にあった怖い名無し:2009/08/06(木) 14:23:28 ID:8tVK8o6K0
昨日の某番組で、網膜分離という障害の為に失明した青年が、努力の末エベレスト登頂に成功する、
というドキュメンタリーをやっていた。
偶然、その番組を見ていた俺は正直感動したのだが、晩酌しながら見ていた親父は複雑な表情だった。
その表情が気にかかり、それとなく聞いてみると、親父はポツリポツリと話し始めた。

要約するとこうなる。
親父の叔父、すなわち俺からすれば爺ちゃんの弟(大叔父)には、
息子(親父からすれば従弟。仮にY一郎さんとする)が1人いる、という事になっているが、
実はその息子の下にもう1人息子(仮にY次郎さんとする)がいた。
Y次郎さんも生まれつき目の障害を抱えており、十代前半には失明してしまうと医者から宣告されたそうだ。
その宣告にショックを受けたY次郎さんの母親は、
Y次郎さんが失明するまでにきちんと自立した生活を送れるようになってほしいとの思いから、とても厳しく躾たそうだ。
だけど母親は1つ重大なミスをしてしまった。Y次郎さんを決して褒めなかったのだ。
「目の見える人はその位出来て当然」
「もっと頑張れ」
「この位じゃ駄目」
Y次郎さんがどんなに頑張っても返ってくるのはそんな言葉ばかり。
Y次郎さんは次第に母親を嫌いになっていった。

.

そして、ついに失明してしまうY次郎さん。
ショックで家に閉じこもってしまうが、母親はそれを許さず、半ば無理やりY次郎さんを外へ叩き出す。
仕方なく杖を突きながら外を歩くが、云十年前で障害者への理解も乏しい時代、
周りの糞ガキどもはY次郎さんを『め○ら』と笑い、石まで投げつける。
やっとの事で家に帰り着き、悔しさに涙を流すY次郎さん。
でも母親は、
「その位で泣くな」「お前はこの体と一生付き合っていかなくてはいけない」
と、慰めの言葉1つかけてくれない。

634 :633:2009/08/06(木) 14:24:52 ID:8tVK8o6K0
そんな日々が続き、Y次郎さんはとうとう限界を迎えた。
いつものように母親から家を追い出され、杖を突きながら外を彷徨う。
やがて、家から少し離れた所にある道路に出た。
交通量の多い時間帯、Y次郎さんは躊躇いも無く道路へ侵入し、トラックに撥ねられた。即死だったそうだ。

葬式が終わり、母親がY次郎さんの持ち物を整理していると、
偶然テープレコーダーにY次郎さんが肉声を吹き込んでいた事に気づく。
吹き込まれていた肉声、それは母親への限りない怨みと憎しみ。
親父もその内容までは知らないそうだが、
気の強い母親が発狂寸前にまで追い込まれたらしいので、相当凄い内容だったと思う。
結局、母親は精神を病んで2年程精神病院に入院することになり、かなり苦労したそうだ。
そして、数十年後「Y次郎が私を見て笑っている」といった内容の幻覚を見ながら亡くなったらしい。

最後に親父は、
「厳しいだけじゃ駄目なんよ」と言ってこの話を終えた。

スポンサーリンク

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする