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【後味の悪い話】遺族

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後味の悪い話 その32

854 :1/3:2005/09/13(火) 04:05:07 ID:G+kpk66x0
昔読んだ小説なんで色々間違ってるかもしれないんでスマソ。

主人公の家政婦は、短期契約である大企業の社長夫妻の家に住み込みで働く事になった。
その家の一人娘のA子さんの結婚式が近々控えており、嫁入り準備の人手が足りないという理由からである。
奉公先の社長夫妻は金持ちにありがちな高慢なタイプではなく、むしろ礼儀正しく誠実な人達で、
願ってもない雇い主なのだが、社長令嬢のA子さんの様子はどこかおかしいのだ。
もうすぐ自身の結婚式というのに、まるで他人事のように一日中自室でボーっとしているだけで、
母親から新居へ送る荷物の整理や新婚旅行の準備について叱られても、心ここにあらずと言った感じである。
しかし主人公は雇い主のプライバシーに関わるまいと無理やり納得して、日々の仕事に没頭していった。

さて、ついに結婚式の前日の事である。
居間で一家が最後の家族団らんを楽しんでいると、不意に呼び鈴が鳴った。
こんな遅くに誰だろうと主人公が玄関に出ると、
社長婦人と同年代くらいの中年女性が、プレゼントの包みを抱えて立っていた。

855 :2/3:2005/09/13(火) 04:07:34 ID:G+kpk66x0
結婚祝いに来た親族なのだろうかと、確認をとろうかと思ったその時である。
血相を変えた社長婦人が後ろに立っており、件の中年女性に「お引取り下さい!」とヒステリックに叫んだのだ。 
いつも上品な婦人の慌てように、主人公が呆然としてると、A子さんもいつの間にか後ろに立っているのである。
すると中年女性はA子さんの方に駆け寄ると、
「A子ちゃん結婚おめでとうね。呼んでくれなくて残念だわ。
 そうそうこれね、B子の使っていた手袋よ。あなたにピッタリだと思うわ、ぜひ使ってね」
と捲くし立て、プレゼントをA子さんに押し付けた。
「帰ってください!警察呼びますよ!」と社長婦人が声を荒げると、中年女性は笑顔のまま家を後にした。
興奮冷めやらない様子の婦人は、
A子さんが貰ったプレゼントを「捨ててしまいなさいそんなもの!」と取り上げようとしたが、
A子さんは貰った手袋を手にはめて、
「ウフフ、B子ちゃんの手袋、B子ちゃんの手の皮をつけてるみたい~」
と、気持ち悪い事を言いながらさっさと部屋に引っ込んでしまう。

翌日、結婚式が終了してひと段落ついた社長夫妻がくつろいでいると、新婚旅行中の花婿さんから国際電話がかかる。
どうもA子さんの様子がおかしい。自分がどこにいるかわからないようで、飛行機の中で暴れだした。
今は鎮静剤を飲ませて宿泊先のホテルで休ませてる。明日連れ帰るからこれからの事を話し合いたいと言う。
受話器を置いた後、ご主人は「全部あいつらのせいだ!」と声を荒げ、社長夫人は床崩れ落ちて泣き出した後、
誰かに吐き出さずにはいられないと事の真相を語りだした。

.

856 :3/3:2005/09/13(火) 04:09:33 ID:G+kpk66x0
一年前、A子さんは女子大の卒業旅行にと、親友のB子さん達と一緒に湖畔のペンションに泊まりに行った。
彼女達が湖でボート遊びを楽しんでいると、突然バランスを崩したボートは転覆した。
この辺あやふやなのだが、とにかく溺れたA子さんを助けようとしたB子さんは、結果的に命を落としてしまう。
B子さんの家は熱心なクリスチャンであった。
B子さんのお葬式の日、大切な娘さんの命を犠牲にしてしまったと恐縮する社長夫妻に、
B子の両親は泣きながら、
「B子は人一倍正義感の強い子でした。大事な親友の命を救えてあの子も天国で満足しているでしょう」と言った。
そしてB子の母はこう続ける。
「あのう、これからA子ちゃんを、B子の変わりと思ってもよろしいかしら。
 あの子が救った子ですもの。他人とは思えなくて・・・」
それから事ある事にB子母はA子の元を訪れるようになった。
ある時は遺品を携えて、ある時は「あの子の誕生日だから」とプレゼントを持って。
事件後すっかり塞ぎこむようになったA子は、この頃から決定的におかしくなってしまったのだそうだ。

「義を見てせざるは勇なきあり」という言葉があるが、
B子さんはその通り、良心に従い親友を助けようと自らの命を投げ出した。
しかしそれは結果的にB子さんの両親の心に深い悲しみを生み、A子さん一家を巻き込んで不幸にしてしまったのである。
B子さんの母親が、A子さんを狂気に追い詰める為にそのような行動をしたのか、
それとも、本当に亡くなった娘の姿をA子さんに重ね合わそうとしたのか、それはわからない。
ただ言える事は、B子さんは亡くなったが、社長夫妻もA子さんを亡くしたのと同じ気持ちということだ。

864 :本当にあった怖い名無し:2005/09/13(火) 12:55:42 ID:EASr2RdB0
>>856
関係ないけど、B子母の振る舞いに、池田小の遺族親を思い出した。
毎日、出席簿で名前を呼ばせ、(誰かに答えさせる)
給食も死んだ子の分を毎日用意、(誰かに食べさせる)
遠足にも遺影もって親が参加。
このA子さんみたいに、子供がおかしくなっちゃうな。

866 :本当にあった怖い名無し:2005/09/13(火) 13:35:17 ID:RTtTQehA0
>>864
便乗するが、思い出した話を1つ。
家族を色んな形で失ったご遺族様の集いの話をさせてくれ。

一人は自殺で、一人は病死。
そんなお二人が話し合って、随分仲が良くなったみたいだった。
でも、ある時…唐突に片方が酷く怒り出してね。ほとんど発作みたいだった。
会場設営の手伝いみたいなもんだったから、詳しい経緯は分からないんだけど。
で、止めに乱入したら、片方が言うんだよ。
「アンタの息子は自分で死んだんでしょ!私の○○はまだ生きてたかったのに出来なかったの!一緒にしないで!」
そして、もう片方は嗚咽状態だったんだが、その台詞を聞くなり無言でペン立てを発言者に投げつけてね。
止めとばかりにあとは呼応した嗚咽が会場中に吹き荒れて、えらい騒ぎになっちゃったことあったーよ。
落ち着くまで何人かの様子見をしてたけど、
ずっと泣きながら死んだ息子さんの名前とか言いつつ謝り続けてる叔母さんなどいてさ。
…正直、気が滅入る所の話じゃなかった。
なんかこっちも泣きたくなってきたが、泣いたら戻れなくなりそうなとでもいうような雰囲気があってさ。
プロの心理関係者や牧師さんなんか、ツクヅク大変なことやってるんだねとオモッタYO。

豆知識としてこうした話を聞くのなんかは結構好きだし、本も読んだりするが、
本業にするのは簡単じゃ無さそうだとオモッタ。
話を聞けばいいというだけでなく、ある意味では肉体労働よりキツイんだろうなと実感が持てた一瞬だった。

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